俳諧之連歌  第一 飛梅やかろ/\"しくも神の春  われも/\のからすうぐひす のどかなる風ふくろうに山見えて  目もとすさまじ月のこるかげ あさがほの花のしけくやしほるらん  これ重宝の松のつゆけさ むら雨のあとにつなげる馬の角  かたつぶりかとタ暮のそら 何やらんふみつぶしたる音はして  くいつくほどにおもほゆるみち 木末よりさてこそほゆれ犬ざくら  さるまなこにて花をみるころ さほ姫や哀うち出さけぶらん  人はさら/\かすがのゝ春 さゝらをや若むらさきのすり衣  そでうちしほれとくはしやうぎよう 夕時雨おやかう/\の雲ゐにて  峯のあらしのろんご吹声 滝の糸ぶんかうのをもたえ/\"に  いかにふたつの心ぼそかる 去年うみし子や古郷にのこるらん  七夜といふもいまのことなり 五日より六日になるはほどもなし  かものけいばに袖はぬれけり しやうぎさすのゝみや人に雨ふりて  をしてふく吹也もりの木がらし 下ばちるなりはひらくやながむらん  しら/\"しくぞよそにしらるゝ くろ竹の筆にてかける文もうし  うのけほどだにこゝろありてよ かゞり火にいつみえらるゝ夜はならで  おく兵さうな峯のたいしやう しらはたをふるいたてられなびけられ  雪にせがきはいましぼしまて せちぶんや寺にもものをいはふらん  かはらの鬼はそとへとびやうち まめをとこうちながめつゝこゑ/\"に   十三夜とや月をいふらん よめいりのそら吹かぜにきり晴て  しかの音ちかきつゞらくしばこ 奉公のひまもあれかし秋の山  女房たちをとばのこいづか しのぶるや花のみやこにばけぬらん  かばさくら戸に袖なぬらしそ 春雨のふれば筆さへ笠をきて  しら鶯いかにさびしからまし にほへども誰かぐことやなかるらん  鼻さへまれになれる此ごろ のぞかるゝことも有しを命にて  つかればしすな山かげの庵 ひげ僧とくぢらはいづくかはるらん  とにもかくにもあぶらなりけり すべるなといひだにあへずすべりきて   人などさのみふしやうなるらん 契しをものにたとへばことし竹  こと/\"しかる夏のタぐれ 日ぽんに時鳥なく声はして  たうのみ門やくゐななるらん やうきひのほゝほと/\と打たゝき  あさねをおこすほうらいのしま 薬にていたづらものをなをさばや  あさましくこそとくもかさなれ 人はたゞ夢まぼろしにつえすゞき  いしの火にてぞたゞあぶるべき うかれつゝ硯水にやぬらすらん  くわひしもいらず物おもふ暮 君こずばひとりやこよひ賦くだり   ならざざりけることのしようしさ 今日の日もやう/\なれやいかゝせん  八は七つのみちのやすらひ はしみれば三川のさはにかずたらで  ふた村山もあはれたりけり くれはとりやのへふけとやおもふらん  みやこの雨にすゝまざるのみ ものゝふの音羽のかたに立よりて  ぐそくをみればたきのしらいと 月となみこゝをはれとや夕あらし  お花がもとはおもなおもはゆ うづらなど遠山どりにかはるらん  ぬかれやするの野べのかたらひ 今日にあふ子日#(木公)の岩けかすかにて  きらりとみゆる春の夕ぐれ 鷹が音やあかつきをさしてかへるらん  はげたる太刀のつぼめ鳴ころ 青柳のいと巻までも打わらい  かゝ/\なれや道のべのすゑ 誰となく地蔵をとなへ旅だちて  ほそながきこそ哀なりけれ ほの/\"とみしより恋をし文字にて  目のわづらいはことのはもなし 遠嶋のかいさうとてや送らん  #(木公)のはごしにしやうじする比 夕づくひ百日斗うつろひて  にが/\"しくもさびしかりけり 柴の庵などかきはだをのみつらん  ひえなんこともしづはしらずよ をだ巻をあぶりては又くり返し  はらのいたきも安きはたもの きりはたり長命丸やあはすらん  ひやうしをうちてみるはむらささ 横何 第二 青柳のまゆかくきしのひたいかな  こほりうちとけよするたしなみ 水どりのけさせちごとにうかびきて  耳にもいらぬうぐひすの声 大きなる春のかうがいいかゞせん  こがたなぞとてあさくおもふな いかなりし日も打をかずつかはれて  引出ものもやほのかならまし むこ入の道のほとりの花すゝき  とくりをもたせ秋かぜぞふく 月かげは誰小ものめををくるらん  なのりをしてもかどななたてそ あさもよひきの大殿のまろ/\と  たちばななりぬちぎりもやせん いとけなけ人のかほこそまもらるれ  ひたいにゆふはちはやふるかみ 余にもおきなのゑぼしまへゝきて  うしろをみればさびわたりけり とぎもせぬやりをやとものかつぐらん  あぶらはなきか山ざくらがり しろ/\"と庭島おほき花にきて  けあはせよともおもひぬる春 霞つゝかける双#(氏巾)やゆがむらん  人しれざらば名をもながさじ ひつこめど川かぜ寒み日は募て  づきん大きに千どり嗚声 雪だまりかきなでかきやはらふらん  けづりはすとも爪ななきりそ ほどもなくけふはひつじのひの木いた  こくうざうにはまけもこもれり くもんぢやまへかんなにてくりぬらん  あぶななきこともしらぬみちなり おさないや髪かたかれと手向まし  はいかゝりてはうたをよみけり 藤の花さけるは定案かづらにて  西行ざくらうつろへるころ さもあらばあらなん春の十五日  くるはせにけり比は正月 みどりごやもちいもおやもあまからん  大きなりけりちいさかりけり ふじのねはとうちんかうをふもとにて  おもしろくたゞこゝろぼそかれ けん物にみな後の世やねがふらん  なむあみ笠をきぬ人もなし しのぶにはおもてをさらにむけざれや  たゝみもかなのむかしなりけり 一条も見えぬはふるきむかしにて  しもからかみへかこつ道のべ しゆう殿のねやすほどをや秋の暮  しぐれてくるぞ露がたまるぞ 有明の月はいかにもひらくして  かうやひじりのきたるかさゝぎ はしわたるなりはしぼなく打ながめ  花さく山にのどはかはかじ みよしのゝ茶のむのかりやかへるらん  すきのまなれど春の古郷 恋草は見えず何やら村/\に  おもひきれどもきられざりけり なみだには刀のはまでこぼれきて  いたいけなるはおそろしきころ 姫ゆりのなど鬼ゆりに成ぬらん  庭こそあらめつみなつくりそ 古寺は何の分なくうち見えて  つゞみはあれどしらぬ大小 さるがくはいつをつごもとおもふらん  まくりをながめこよみをばみず 雑言箱くすりばこともなりはてゝ  やまとにはあらぬ老僧の道 だうの鳩の杖をつきてやかよふらん  雨くらぐとさ月月おち 西ろうの内そことなく涼みきて  ものぐるいこそあまた見えぬれ 百まんやすみだ川原をわたるらん  くろくもあらぬ山うばのいろ 口びるにもとより袖はあかくして  あつきかひをやうちこぼすらん 霜月の廿四日とて風をあらみ  だうこ日にも雪はふりけり 寒ければ物しりがほの旅ならで        けふのみちやはむねそりなまし あすか川ふちはせ虫の夕わたり  ふまんとおもふかはづなく声 山吹の花ぞめごろもかきあげて  もゝさくころはもゝも見えつゝ 西王母いか斗かはかゆからん  ゆをもあびざる秋はきにけり 三日月もたらいもわるゝ夕にて  びしやもんだうは露のよもぎふ 花ざかりきのふか今日はきり/\"す  時うつる也いかほどもなけ やごとなきすがたとて打かたぶきて  ひとりをうなの歌をよむ声 山ざとやさびしかるらん中つかさ  しづまり給へ峯の#(木公)かぜ 花に今月と事とが出あひて  かすみのうちはさけのゑひ也 一度もぬるむ水なみのませぼや  二見のうらをかへるくちなわ くび玉をまきえの松やのこるらん  あられうち散しゆうするころ 何毛 第三 花よりも鼻にありけるにほひ哉  月はおぼろに深るいのしゝ 春の夜の夢やさながらうしならん  けさのあさけはきにかゝるなり はし板にいたがねなればかさなりて  こゝろのまゝのすゝめならずや 十こくや酒をば立ものこすらん  かすは五ざうを養性のため まへ四つうしろはひとつやくをみよ  なだのしほやの尺八のあな あしがきにかゝる爪ざねほのみえて  すゞろにはらのどくとしれかし 我おもふ人や何をもあかざらん  山のちやのこようみのさかなよ はまぐりの秋は木末になるをみて  したかと月にさしいだす暮 ひやゝかに何をのまんもいざしらず  衣がへしてくすりせんじよ 春過て夏めにけさや成ぬらん  たゝれにけりな卯花のかげ 玉川やすりこすらるゝながれにて  たかのゝおくはなをかうや墨 いづるまでそのあかつかの白がらん  あら/\とこそをくりかねぬれ 一筆に御恋しやと書捨て  ひなの長ぢに其若ごたち 手ならひはなど天ざかる物ならん  あがりなんとやあがりなんとや はりごとにくることするは山のかげ  にぎりこぶしはうき大はんにや なごよぶに六百貫やまけぬらん  せんのかずさへあれはあれけり いねがてのよ半のせうふう寒/\て  詩はつくれどもかゞまりぞする 茶ひようにはとうばが竹や成ぬらん  花の会とてつくすからもの さくら咲やどはさんしようこしようにて  春よりこふをながめざらめや 帯を今とかんことこそうねしけれ  かきたえ後は中もよきころ 一もんにひとりもかゆきかたはなし  かさのなをるは平家なりけり おさないにをはらごかうやのますらん  ねよといへどもねずぞしつはら 哀にも枕のさきはちよつとして  ぎぼうしまでも夢のうきはし あぢきなやつれていづくにながるらん  風もなぎたりしかとをれなみ いんぎんも舟の内にはむようにて  旅人はたゞうたいなりけり みやこをばいざしら雲のくだり月  やがてまいらん秋かぜぞふく 仏をばつくりもあへず露みえて  墨ぞめごろもすそはいかにぞ 寺よりも馬をかへとや告ぬらん  人は何とておあししやうぐはん ちいさくてうすくてけつくあなあきて  ほめどころなくなるや其まゝ のうをたゞすべぎも足のたゝばこそ  とふろのおとどゑびすなりけり しほがまのさくらだいをやつらるらん  はたらくほどの花のめいぼく かすめどもしょうんしらるゝ道のべに  おもてのぎずもつかぬたび人 山だちのほうづきやりはさびはてゝ  いとゞみじかくおもひあこがれ かよひぢやなが/\しくも匂ふらん  たちばなでらも河内也けり 正月のかうじくり毛の伊駒山  ふもとのさとへせちすゆる へいしをば野べのこてうにつゝませて  ゆめ/\あだにあらじしやうぐはん 月みてやときはの里へかゝるらん  よしとも殿に似たる秋風 やみ/\とうたれにけるをきぬたにて  おそろしきには何かこらえん むくひこそいかにもいたき物からめ  めぐりもあへずはやはちくなり いとけなき人は車のしぢのさき  行もゆかれぬ道はころ/\ ゑのここそあらめ犬こもおこりきて  いける身なればくはほうあらぼや 大きなる耳とてさのみかこつなよ  うさぎとみるはだうり也けり 月いでゝたぬきやなみをはしるらん  くすりもいらぬ*(火禾)のゆふ暮 荻はらや風のはやるもしづまりて  もとあらのこ荻しようき大臣 哀にもむらさき墨絵かきくらし  窓にせめてはなるないりあひ 貝ふくや南のそらにきこゆらん  とくせいやりのたつるふだらく おもしろや目の性までもつよくして  あべのゝはらはきはだのみなり こがねなど#(木公)虫ほども見えざらん  おやにかうある*(火禾)かぜのころ 月のよにだかれてぬれば匂きて  こしのあたりぞふしをあらする 人のたゞさすべきものは竹がたな  おく兵ならば千代もへぬべし  姉何 第四 鶯のむすめかなかぬほとゝぎす  梅卯花にそだちきにけり 山ざとのさのみはいかでにほふらん  みやこいでゝや似合ざるべぎ 旅ごろもつまにせんかた十二三  あひしやう文のことづてもがな おんやうに捨られぬるも人に似て  うつりかはればさるとこぞなれ 花のはるもみぢの秋のものゝさね  よまれもやらずうたてかりけり 玉札をなど永/\とつどくらん  まいらせ侯や(まゐらせ侯)や そなたへも又こなたへもいひ/\に  かみすぢほどもちがはざりけり くし引はさんを置にもたゞならで  名をば何ともさだめざるころ 秋風やだゞ入道と吹ぬらん  こよひの月はくまさかもなし かんだうをうつかときけばから衣  目はなをつゝむことのはかなさ ひ仏とてひするにたれかまいるらん  けさあさもよひもよほしならへ 紀の国やいろはもしるく見え渡  ちりぬるを和歌吹上のはま 雪に鳴千どりとやらがかすかにて  竹もまぶたもおほひぬる門 ことのはに心ひらかばよからまし  かきぬるも人よみぬるも人 ざとうへとごぜのもとより文のきて  ほろりと目よりなみだ落けり 憎こそはうつぼつくるも殊勝なれ  南無からたかうとらのかはとや あら/\と風もうそぶく松かげに  茶はひかれずよ往吉のさと 高砂のうばがふところしめりきて  むかしもいまもしづく也けり のごはんと猶めいじんやおもふらん  目をわづらへるけふのさるかく こうばい殿こうばいさんに成もせで  花ぞめごろもさらばにほふな 山吹にたてなん名こそしようしなれ  うぢのわたりにはりは見えけり 橋姫はあねがこうぢのいもとにて  水あぶるなといさめぬる声 はだかにやならんと斗おもふらん  小袖も帯も皆おろさまし さしけるはさめさやまきの刀にて  こまかにくどきみやこぢの末 くりごとや五条あたりの物ならん  夕がほふくべふくべ夕がほ 庭鳥はくゐな水鶏は庭とりに  なにとかさだめひよ/\の声 よこ笛やたてにふけどもならざらん  もしわるゝかとおもふ夜の月 あかつかの秋のあらしのうちあてゝ  露こゝろえぬながめする也 永からずさらば山のは丸からで  みすみになるはくるゝ日のかげ うつろふかとおもふ花の色こがた  そこに蛇の往きしの山ぶき かはづには何とてつののなかるらん  ちゝのためにはこゝろおるゝか しようぶんはうけとりぬるもうらみにて  葛はふ岡の山田一たん 秋かぜに誰たのしくもなるこなわ  べんざい天に月のさやけさ かぞふればこよひは十五とうしにて  としなみしるくきやうをこそよめ もしも人とらずばいかにふせの海  たゞかへれとぞおもふ越中 旅ごろも立のこしたる布をみて  なみだのごへの伝ぞあけつき うき世とて恋にすきごときかじたゞ  じやくろ也けりいのちなりけり かゞみとぎさ夜の中山今日こえて  あづまのかたにいそぐよめいり 吉日やいでゝもくるゝかげならん  のめばかんろの水のすゞしさ わがてうも茂りへだつる柳かげ  風うち吹てなきみわつらいみ からすとてからくおもはん物ならず  あま鶯なれどあまくあらばや ともすればくいつくことをとりどにて  あふぎに似たるもちいなりけり あぢきなや何ゆへいたうこがすらん  むすめをつるゝけふの舟みち 松かぜはきのありつねが夕にて  花のちるをやつらゆきもみん よしの山くだるぞしるきやよ弥生  かすみにしのぶ宿のむり/\ 恋せじと何もいはずや成ぬらん  御萩がはらを過るえげ僧 わとうより外はこゆべきものならで  車なるかなまなこなるかな しの月や夕とゞろかに入ぬらん  西はるがなる一番のころ 東ぢのはてとおもへど碁をうちて  四丁にかくるさのゝ舟ばし 勧進や月日も遠く成ぬらん  へうしも古くなるほうがちやう 竹何 五 絵あはせは十二のほねのあふぎ哉  ほたるともし火かきもかきたて 玉くしげまだかたぶたは明やらで  こずゑながむるなりはいたひけ 花ぶさをちぶさ也とやおもふらん  むね打かすみ行かたぞなき 年こゆる時はしれどもいけどられ  しげ平貝をふかれぬるなり 風呂にいるせん寿のまへのかゆくして  かれたる木をもたゞたけや/\ みるに猶こほるすがたはうるさきに  のくるものかずはぐもはがれず 人になどかうやくきつねつきぬらん  風引といび犬なりといひ 日のもとにいこくのゑびす鼻をひて はる/\"きつゝむねつぶすなり ふところのみやげのじゆくしいかがせん  孫子見えたる道のかへるさ 夕されば野べの重宝つたへばや  さねもりなれや深草のさと びんひげの色は墨染ざくらにて  すゞり箱をや花の手まくら 何とてか春にはかどのなかるらん  世をおさめぬる心うつくし 紫のいろにはんれいさそはれて  こうなりなすびちぎりてやみん 碁をうたばしやうしさせんの言葉に  ひれありけるぞ置どころなき さ夜ひめのふとるや月にみえぬらん  刀をいだすほしあひのかげ すまふをば草の露より猶とりて  先一番に*(火禾)かぜぞふく 昨日かもうへし岡べの田代どの  かろ/\"しくも山ほとゝぎす 夏衣いかにもうすくおりたてゝ  春はつまどのごとく也けり 今日はゝや花心きりりとをしひらき  いつまでにぎりつむるわらび手 かうがひは人のとるべき物ならで よしさもあらばあれなあかがね はしらへもとりつきぬべき道のべに  やどるなりけりすべるなりけり へうたんをみれば山からなまづにて  うちわられてはよみぢのみとか 百首にやはうとりそふる中ならん  うき恋草のねまでほり川 きるといふこともいはぬはみやこ人  旅と太刀とのゆくゑしられず あさぼらけおさ舟遠くこぎ出て  海士のだつるは浪とはたもの にしきにはにしいか斗まがふらん  其もからものこれもからもの 目きゝこそ大かたならぬみやこなれ  町へいづるはいかめしくみゆ 手綱をばかゝず袴はほころびて  はれがま敷をいふもいつまで 日はひるに成をかりばにおどろきぬ  十らう殿ぞしほをたゝるゝ 今日は又とらやくしとやおもふらん  ほとけも人をくはれなばうし 極楽は西へかたむく日文字にて  涼しき月を手ならひにせん そだてゝはのうをつけんのなでしこに  大和に一の名をもあげばや おもはずも恥かくらくのはつせにて  この山でらはしようしにもなし 松たてる峯のあらしのふく仏  のどかにいつかぅけもとるべき あさな/\手をむなしうし霞きて  春の哀やこしに付まし 花は風さるほうつぼの世中に  月に村雲庭とりにきつ あかつかの秋時雨哉あはれ哉  夜長なりとておめきあひけり 物語するはきかずときかずにて  大事はさてももらすべきかは 能はたゞロの内にもありとしれ  したづつみをやうちならすらん 誰上も茶のこといへばたのしみて  天下泰平こくどあんにん いつまでか梅のさねにはまがはまし  人のこゝろをかみくだかばや おもひ入しのぶの山のおくばにて  秋かぜふけばいろ付にけり まだよひの月やてらされかねぬらん  とゞろ/\の雨はとをさじ たる神にカキ#(氏巾)一重かさなりて  飛ぬるくもゝしぶくりにけり あしたづをふびんとて猶袖ぬれぬ  弓をいつゝも君にみせばや 我恋や十三ぞくにあまるらん  うかれ心にたびもたまらじ 足を空になす斗にもこらへかね  神代もさこそきるゝあかがり 大原やそくひをしけの山見えて  峯にすみやく日はたけのへら さきありとむなおいあふれ年の暮  春はほどなきころのつはなみ 鳥はふるす花はねぶとに帰さて  山のおくなるもゝの大きさ  唐何 第六 かさ鷺や今日久かたの雨の川  はし吹わたす*(火禾)かぜもがな 杉いたはのこり柳はうつろひて  行てとはゞや山ざとのなり 雪はたゞ何とふるともたまるまじ  ぬふてふかさもさきはとぎれり 鼻かけや世を鶯とおもふらん  花にわするな人はーしん 山吹のさけばせんぼうはじまりて  かしましき哉春のふるでら 墨染よよそにわびぬる色をしれ  しろがねざいく水もむすばず 目ぬきより先山の井をほりもせで  日かばはあつきしゝ二引つれ とこ夏の花に文珠の立ならび  妙にりこんにりこんならずよ ほけきやうやおぼえすまして忘らん  くうの道より外はなきかや 誰をかもしる人にせんさかなにて  けづりものにはたこさごの#(木公) しやうじんのぎやうはいかにと吹風に  山ぶしにもやことしならまし 正月の一日の夢にとびをみて  からすに似つつたのもしき春 里遠くふうふに行夕がすみ  子をばいづくに岡のべの#(木公) いざさらばはらむ山田をなでゝみん  衣ももたずうつこともなし ぬす人にあひぬる坊主碁をとめて  ものさびしくもしまぬ也けり あさぢふにかぜのひきたる目のくすり  などかはかいをあはせざりける ひとりづ哀たもつやいなやにて  大弓いるはもとの事なり 世をおさめ民のおとなやながむらん  かまどのけぶり立はおもしろ しかのなる浅間のだけはうつぼにて  すがのあらのゝくまやはぐらん 草まくらおそろし風の吹声に  ぬるくもあらずあつくもあらず よきほどに酒やわかして出すらん  かすみのうちにこうは入けり 人かげに春の亀どもおどろきて  しのび/\に花をさすころ みぬことはみたき物にも有なれや  鬼はととはゞいひてきかせん 目大きに口はひろくてしやぐまきて  やせたる人のことばたゝかい ひゆるなとくもでかくなわかけとめ  いづれはあふるやつはしの水 風呂に人入てはあかをかきつばた  みやこほとりのたしなみのいろ 津の国のさぞ/\にほひ渡らん  布引よりもおつるそらだき 一すぢに直也けるを雲井にて  君はぬくともおぼしめされじ 今さらになどほうけんのさやつまり  をよばずながらあぶらぬらばや 久かたの天津乙女の鼻のさき  たゞきりとこそ思やらるれ 玉手箱さゝまくほしくおもふ世に  ふるさうしをばいづちさだめん むぐら生るやどはからとぢ大和とぢ  かけさはらずばふたつならめや 天目のあたりに角をふりたてゝ  蛇は人をのみ人は茶をのみ いけにゑのあたりにするやしとならん  くはんたい也とけんくは出にき きれ/\"に成ぬることの哀にて  むさしをさすとみゆるなりけり べんけいやはちの有ともしらざらん  うそをもふかずけなげなるころ そゞろには成もはる/\"太刀はきて  天神さこそつらきみちのく 月なみや末の#(木公)山こえぬらん  あだし心をもちにける哉 よはひをもさづけぬるとてゆだんすな  川をわたれば鶴とだう亀 白かるもみえて赤かるしたはらに  いづれ手染のいとのへそのを 衣をや今むまるゝにきせぬらん  花のあたりのなりはこびたり 誰となくー度えめばもゝ千鳥  ひまのみ見えては霞の山 やうじをやかみをやけづり捨ぬらん  何もたまらずとんせいの後 物ぎれの五郎入道とぎたてゝ  月にかけんも安きしらなみ  わがやどはたゞりうぐうの秋の暮  萩のしたや萩のした露 うのは吹荻ふくかぜもしづまりて  はらのくすりときくをたづねよ 国/\をかゝヘてかけやまはるらん  きびのかず/\みゆるたんじやく 十こくとたゞのりと今行あひて  くはんじんちやうをよみ人しらず ちやう/\ときこえてとまることもなし  かねやうつらんばくちうつらん うりぬるは正躰なしのかたなにて  おや重代ノアキノ夕暮 何力 第七 錦かとあまめにほそき小萩哉  もみぢおりたくふるやみのころ 大かみにかへまくほしき鹿鳴て  さこそは月のやどる水がき のびあがりみれども見えぬあしもとに  くびのあたりのくるゝ山かげ 草かりやのど笛吹てかへるらん  つぼどころをもおもふこゝろか 花一木せいかうさんに咲そめて  たうどの鳥のさへづれる声 をしへつゝ七草なつむうちねらい あはれ也けり賎がおばのこ 山里にいとこどうしやをくるらん  たにんより猶ものぞさびしき 時雨ふる声遠/\におどろぎて 槙のした葉につみつくるころ ぢごくへぼうちくもりてやおちぬらん  よはひの末ぞとぎみがくべき 去年よりもことしはこしがかゞみにて いつまで杖をつかんとすらん 峯のみか山も□□き里道み きつねに似たるをのゝかよひぢ 小町こふ四位の少将タヌキニテ もゝよも同丸ね丸ヤキ キヤウヲスルかたはやがてや家作  永/\し日にくるし番匠 花のかげいく度水をのみならん  春も身にしみゆびをおる也 深草に連歌の初心あつまりて  いざやふしみの竹くらべせん わらふにも腹たゝぬこそ上手なれ  さるもくすしをするとみえけり 水にすむ月と脈とをとり/\"に なみすさまじく何おとりけん 川原とはいへど石なごなき物を たがこむすめの身をこほらかす のどかなるつゞらのふたの朝ぼらけ  うちくもりにて春のとを山 硯までわかむらさきの窓の前  くろかるいろはありやなしやと すみやきの物はいかにもかすかにて  ふぐりをみれば大はらの里 世をいとふ人ははり先おもひたて  ぬはんきげんもせぬ苔ごろも わびぬるやとにもかくにもにがるらん  きこくまでにはたのしからめや せんじてものまば大こくゑびすにて  おもしろきこときくもよしあし さるがくの数やこよみにしらるらん くはんぜこん春こんがう不日 かならずも薪の比は手向して 夏に心のなどかむかれぬ かはながら瓜をし人のあかなくに 夕がほまでもつくり也けり 世の中はながらのはしとふくべにて  さんしやう事にむせわたらばや かうぶりのす物がたりのつれ/\"に  くやしきことはけんふくにあり うら嶋や箱王どのをあけぬらん  むかしがいまにいたるまで恋 すきまなくあらざるをたゞ道にして  よろひのそでにこても見えけり ものゝふやへいをぬるにもすすむらん  せめぬることはなにをきらはず まくらよりあとよりこいとふなかきて  夢のうきはし又はまなばし 世をわたる道やつゝくもしまざらん  めおといさかいたゝかへる声 夕ま暮かううかうそは物ならず  国とを/\"とさこそきこえぬ あはぢがたかよふ千鳥の耳こにて  いくよね覚をすまの関しやう あかつきりもしほとかやがみだれあひ  こなたかなたをやかんとぞする あし引の山やかつけをさそふらん  ひろへることはいつわすれめや 道のべの刀をみればあふひにて  夏きにけりとはふもみえけり 時鳥など一本もなかがらん  もとの事をばきゝ度もなし 今やうかよしぞとおもひあはせきて  うちながむればみくさにほえり 我やどのききやうかるかやをみなし  まがきの菊の花なな咲そ 余月白/\として人こいし  たづね行こそ飛斗なれ 花よりもこなたのごみぞたまり水  春にあはすば身をやなげまし 大かたにすゝきはらけんものならで  あかにむもるゝみな月のかげ 土用にや耳のあナをもほらざらん  やめぬるまゝにつどく八専 いつとなく物しりがほはひもやらず  うるしに似たる僧のかたこと 南無やくしぬりくはう如来となへきて  哀くすりもいらじとぞおもふ あぢきなくちいさかりける香箱に  目に見えぬ也目をかけぬ也 こがねをば鬼ももたずや成ぬらん  あだちが原のくろづかの太刀 霜何 第八 なのりてやそも/\こよひ秋の月  あぶみふりはりはつかりの声 くつは虫ゆるす手綱やなかるらん  そよやあちこちかけまはりつゝ 竹よりも猶つれなきはひざのふし  木のはうち散ころのやきいし 神な月きしやうのさたや時雨らん  ものゝうするはやさ敷もなし 月花にうかれし宿へはい入て  人の目にこそ春のくちなは かへるをやべんざい天ののみぬらん  うたをばさらによまぬえのしま 耶にもはやるは笠のしゆうくにて  雨はふりつゝつまるともなし うちしめりさだまらぬこそあなならめ  ふとくあらずやほそくあらずや さらば人両あしながらこいならで  もすそかきあげつく/\"とみる はるかにも行べきやわにおぼゆらん  いそぐとならばおちぬべきくら いかにせんあんけつだうのーばし  水打ながれなくばかりなり あしたづや耳のあたりを過ざらん  弓もちながらこびんはづかし くはげつとはいへどばけつに成はてゝ  みやこいづれば山だちにあふ 門出していはふやいはゝざりけらし  目出けれどもなみだおちけり 君が代ははなげぬくべぎ物ならで  永いきするは手にぞしらるゝ 玉のをや十いろはたいろひろぐらん  心ぼそくもをしさげにけり あすしらぬひうち袋をたのむ世に  口のうちにもいるに山ぶし かねをだにつくれば人ははぐろにて  いか斗かはとかくなるらん かゞみにてみよや/\のはてもなし  むさし野よりもなを大びたい 秋かぜに毛はなけれどもながめして  あり明の月ののこるあさぼら せいしかと夜寒の窓ををしひらき  西へきぬるはころもをもきず 人はいつあづまからげに成ぬらん  旅にいでゝのかはこからうと みやここそ用心すべき物ならめ  にあはざりけり弓のおふくろ のぶしみに人の母ごの出られて  犬わたぼうしふるはれにけり こまかにと病者や薬おもふらん  真砂にたてる松のぶくりやう 歌をこそよみて心も丸からめ  筆はなきかやものゝふのみち 宇治川をわたすする墨ゆゑんにて  いろこき袖やきせんなるらん おられてはくんじゆの中のさくら花  春の日ぐらしをされぬるのみ 霞立ころも二王はまぎれめや  何とてほとけしゆしようなるかげ いんやうの神も有ぬるともし火に  さこそは文をかけるなりひら すい原の二条の后恋そめて  かさなりぬるをとかにさゝるな つりざほは何をつるともおもほえず  かやのうちにはなをや飛らん いとゞだにかほの赤かる人なれや  ほうさきのみかべにさきもうし 涙こそ晴やかになきものならめ  今日もとはれず心もう/\ ことの葉をいひちがゆるはうしに似て  柳はみどり花はくろなゐ 木のめには出るもいづるよしあらず  さきほの/\"と寒かへるころ いづくへもぐつと入べき春の風  はらあてをせよとしの暮がた うづみ火のはいたてのみはかひもなし  雪のうちにやかつていづらん 里泣き青葉の竹のーかづき  笛はいふにもをよばざりけり あつもりの尺八いかにふきぬらん  あそびのみちはうすくならすよ 子ども皆かたびらきるとおもはゞや  ひえ/\"としてむれ立にけり りうなうや興のかもめのさしつらん  しほのうはひか又はそこひか あしのやのひしぐるほどに成もうし  しぐれふるとも雪はふるとも 年の暮せにもつ人のことのはに  吹かぜまでもうちひらめなり おのこかとかきあげみれば姫小#(木公)  こゝろはやみに心はやにゝ 春の夜にかうやくなくばいかゞせん  月はおぼろに人の晴もの 花にたゞかくすはちらし薬にて  くり返してやかみにつゝまん いひしめて又いひしめてほの/\"と  しのゝめ明ぎやうにんのけさ 念仏やひがしの空の物ならん  さるはさゝらをするが也けり うつの山うつはたぬきのつゞみにて  ごぜにばけたる蔦のした道 京何 第九 こほらねど水ひきとづる懐#(氏巾)哉  きりよりほそき冬の日のかげ ほろ/\ともみにもみじの散をみて  たんじやくかくにびはななひきそ いとゝだにざとうまがひの杖つきの  じやうるりかたれともし火のもと こよひはや時はうし若深はてゝ  よはひにおぼろ月にひが耳 鶯のこゑやふたつにきこゆらん  花の木ずゑのほうほひよどり ひたすらにしやうごとしるはいかなれや  あかきいろこそとくとみえぬれ しやぐまきてのむべきものは黒薬  しやうじやうまいや目までまふらん あぶなくも打わたしたるはし  月に心をしかとさだめよ 秋の風吹てけなげにおく兵に  かちぐりあればにげぐりもあり 食ろうのはふか何ゆへあけつらん  留守に置しは小ちごならずや さびしくもさぞおもふとの引出もの  #(氏巾)一でふにあふぎーぽん ちはやぶるおきなをいざやのごはまし  いくたびとなくはなはたらりら くるゝまでつまりぬるこそかなしけれ  箱のふたとはなりもならずも かたえさすおほの浦はのなしぢにて いも目へいらず月はとを山 長き夜はいくね覚せんねつきせん  火によくあぶれまへようしろよ 雪の暮女若衆のたづねきて  なり平ひまやなく侍らん 恋しにも霞こめたる里のまへ  春もそとばもたつ森のかげ わかなつむいく田のをのゝ小町にて  まてしばしとほうぼがことのは わらはべのいづるや雪のあさぼらけ  かのこまだらよかつこおどりよ 夏かりにいられぬるこそいたからめ  かゆさもなをる夕暮の空 入あひけ目やきかねにや成ぬらん  なをありがたくきこえきにけり あくはたゞ心のうちにうちすてゝ  げんだいつまでしやうじなるらん 昨日けふあすもゑびらの梅ぼうし  のどいたけれど名をやあげまし 耳はさもあらばと人やしらるらん  六十斗をくるなりけり 日のかげも永/\しきを源氏にて  山どりのおの春の小かごみ 花はいくかどをたてゝかみえぬらん  さくらがもとのせいめいがはん ぬれ/\も蘇民将来朽やらで  なみのそこにも家つくる世 人はたゞ番匠かいやたのむらん  ひだのあたりは白くみえけり そめのこすしかまのかちの袴にて  さのみにはよしたしなまじとや さらぬだにうきおも影をつゞけられ  ひたいよほうよ又はをとがひ 世中にけぬきのなくばいかゞせん  これ第一のれうじ也けり 千句はやはじまりぬれど人はこで  くせとて何もおもしろからず 其はまいこれはあまくやきこゆらん  たゞのまんちうさたうまんちう 少人のいにしへ今のひとりごと  いつかほうしのうかび出まし まふくるも又まうくるもあま小舟  うけがたきこそにんじんとしれ いつまでもくすしやしちを置ぬらん  やぶのすみまでおもひやりにき 佗事をするはいなかのあさ夕に  みやこのかたへ手をすりにけり いもに恋文かく墨はみじかくて  一すん斗ありといはどや さくら花など光陰をしらがらん  春こそちろりちろり也けれ あかつかの明星かずみもれいでゝ  しろきからすが飛といふ人 いかばかり鷺はくろくも見えぬらん  きどくあらはす#(木公)のーもと ふたつにはならずもがなといのる世に  七日に中はわれそめにけり うしのこのあしや七夕爪ならん  月にさけても賤をみましや 木のぼりとみえて梢はうつろひて  さかさまなるは恋ぢ也けり いくたびか君が方へはよはるらん  たのむのかりをむしる春秋 おやの目も空おぼれしてながめして  いたはしといふ身こそおほけれ 仏にも手向ものは花じやくろ  柳さくらの寺はあぢきな 春はたど僧とびくにをこきまぜて  夏はいづくにぐして行そら 時鳥なくはなんだやこぼるらん  夜はまだくらうさこそひまなき はうぐはんはさいくをつれてしのばれて  小がたなにてやつくり山ぶし 墨何 第十 から笠やたゞえかゞみのけさの雪  こほりもいくへあつ#(氏巾)のころ あしづゝのうすきを月ややぶるらん  鹿かと斗つのゝあかつき ね覚する秋のまくらのかたつぶり  露のふかさよあしのはやさよ 村雨もまだひぬおりをまけてきて  さかもりに成山のべの里 赤人はこ歌にさへやしらるらん  うそをいふかとおもひこそすれ 鶯のあかきがありと告られて  はねにや花のちりかゝるらん 矢はいとゞまれなるものとさはらめや  いくたびとなくのごふ行平 もしほより猶たれぬるやあとならん  #(木公)のおほさよはまのおほさよ 山里と人はいへども碁にかちて  みやこいでともさはらがりけり 進上とたよりの文やをくるらん  しやうぐはんをこそしてみるべけれ 雪もなき比は誰にもきらはれて  家ごとにいる春の寒けさ 今いくか有てか花ははちひらき  あつきことをばいはじたとへじ 夏の日のかげにたしなむほどみえて  こがねづくりの夕立ちのそら 涼むとてしのぶに何のおしからん  門のうちへはひとりましませ ふくの神びんぼう神をつれられて  など大こくをかたらはざらん 甲子にふりつることよ雨の暮  うつ手こそげにさやかなりけれ たいこには月毛の駒やはきつらん  慈悲をかくすははかなかりけり あらけなく観音いろふ人みえて  十八日の#(木公)かぜの声 涼しとやぶんごの国にくだるらん  わづらいならぬたびは夏なり 花むけを螢斗も送きて  なさけのあるはひかりこそすれ たづぬるはこゝろみんとやおとすらん  いのちはよしやあしのなごりに まはばやとおもふこゝろか難波がた  さるもゑぼしをきぢのとを山 おりにふれひつじはひざまづくとみて  ほとけさへだに恋をめさるゝ 夕暮のそらうちながめなき不動  火花ちらすやかなしかるらん あひ引にひくは小桜おどしにて 春とはみれどこはくこそあれ  松に咲藤くぢらとやよりぬらん なみにいるかはやすむこゝろか 大臣は舟ばたをたゞまくらにて  ねいる也けり/\ 木ほふをや今日の弓矢につくすらん  はげしくつよく風の吹にも よき中は北のかたにも有ぞかし  南をみればわがおとこ山 あぢきなく笠ふか/\"ときの国や  すゞき殿とは誰かいはまし 名をつかば鯛三郎やます五郎  かたなにはたゞほうちやうをさせ ふをいふはをしくつろげてよき物を  月よむ歌やのどにつまらん しぶがきのもとの人丸秋深て  あがしといへどあからまぬ也 ほのぐらく物やはらかになみのうへ  そでぬらせとやてつきいむらん 恋草は天なん星に成はてゝ  おもひをもせよげぎやうをもせよ 名をあけんことは何にもきしらめや  ねずみの世なるいくさ也けり ねこぼかの川をいろは八鴫にて  つみにもあたる#(木公)のしたみち わきてなど都を遠みおちぬらん  泉へ行てまりをけるころ 誰かざるしのだの森の葛ばかま  秋のけしきやいとゞいんぎん 山のはにかしこまり入月みえて  よし忘んのけさのおなさけ さのみなど色ごのみとはいはるらん  れいもせられぬざいご中将 手にすへて行はましろのたかあしだ  雪はうち散りあぶなかりけり 袖返す寒さこしけのたゞならで  日にてられつゝまひをこそまへ しらびうし黒びやうしにや成ぬらん  しづかゞたびはつゞくともなし かり衣かいだうくだりやぶれあひ  かたのゝはらはばそうなりけり 秋風にきんやの里やはれぬらん  わが身ひとつはもとのねぶとぞ 月やあらぬ春や昔の針ならぬ   つくとしならばかすまかさばや 花の比つまれむしられいかゞせん  すみれまじりの野べのほうひげ ひばり鳴こゑに大児うちいでゝ  れうじならずやいづち飛まし 橋までも刀ぬくとや見えぬらん  みだれやきばの宇治の柴舟 追 加 梅ぞめはこぬ春まねくたもと哉  ひらり/\の雪よあふぎよ あらし吹今日のまい人飛つれて  をみのころもに鶴の毛ごろも くらいこそ空にしらるれなくなとよ  日永きころはしいとやいはん 花さかばつげんも馬ははりつべし  使はきたりうしにくらをけ したをだれねぶりにけりな恋の道  たま/\あふはあつ/\として ひやむぎに猶うどんげやまさるらん  桐のはがなくなれる冬ざれ 火桶ともみえぬ斗にこがれさて   又あぶなきはつゆのいのちぞ しやうりやうやとらふす野べにかよふらん  くれ竹のはのうらぼんのころ 念仏はふしをあらせて申せただ  すみだ川らはくすりなりけり 都どりはしとあしとが赤たにて  たびにしあればうつくしぎのみ そことなく手にもとられずかけ捨ぬ  なをふらめくやよるのかづらき 山ぶしのこしにつけたるあさぼらけ  いがなるかたへとをる文ばこ さいくとはいへどもしらぬきりのさき  さびはつるにもりこんなれかし しんぼちはいふ事きかず寺ふりて  まかはんにやはらへ庭のしら雪 かんきんやそゞろ寒くておとさまし  ほしにあたるはことし大やく 廿五に成ぬる人の的をいて  此月ずゑはゆがみすぢらず 松よりも杉がよしとやおもふらん  よ川にたてるしがの明神 大とものくろ主いろの鵜をすへて  薪にあゆをとりやモヘまし 水ぬるむ出家心よまてしばし  しつだたいしの過る春のゝ ひばり毛のこんでい駒にうちのりて  花のすがたをほめぬもぞなき おも影や猶此さとにはやるらん  うら半をみればほうもはれけり 海士のかるもに往のみか虫くひば  日も夕なぎにまぢなひやせん 山かぜのはげしくきぶくならひきて  はつせの寺にするはほうこう 殿ばらやもろこしまでもきこゆらん  にしきにまさる今日のこばかま もゝだちをとりてこきやうへ帰りきて  天文九年しぐれふるころ  右の誹諧は、そのかみどくぎん千句立願 ありけれど、うちまぎれ、又は成りがたく 過しけるも、そらおそろしく、いかゞはせ んの余に、籤をとるべきに、一ならばもと より、二ならばはいかいのあらましごとに て、哀二をりよと念じければ、二をりぬ。 有がたさ限なく、大かた千句は三日なれば、 これわづかに二日にもたらざらんに、おも ひの外に永びき、夜はね覚がちにもよほし かのえさるには二百いんにて五日につゞり ぬ。 其おりふしにや有けん、周桂かたへ「此 道の式目いまだみず。都にはいかん」と、 大かたのむねたづねしかば、「かゝる式目 は、予こそさだむべけれ。定よ。其を用べ き」の、ざれたる返事くだりあはせ、さら ば此度斗心にまかせんと、所にいひならは せる俗言、わたくしびれたる心詞、一向は うほつ、うつゝなき事のみなれど、あまた の中なれば、うすくこく打まぜけり。  さて、はいかいとて、みだりにし、わら はせんと斗はいかん。花実をそなへ、風流 にして、しかもー句だゞしく、さておかし くあらんやうに、世々の好土のをしへ也。 此千句は、其をもとぢめず、とくみたし度 初一念斗に、春秋二句結たる所も有ぬべし 。されども、正風誰人の耳にも入まじきに、 いさゝかもきこえん、はからざるさいはい ならん哉。其うへふんこつ妙句なきにしも あらず。又さしあひも時代によるべきにや。 しいてなをさんも、しうしんいかゞ也。然 に、はいかい何にてもなさあとなしごとゝ、 このまざるかたのことぐさなれど、何か又 世中其ならん哉。本連歌に露かはるべから ず。大事ならんか。兼載このみにて、心も のび、他念なさとて、長座には必もよほ し、庭鳥がうつぼになると夢を見せむこ 入に一ばしをわたり、宗碩は文かよはしの 自讃に入あひのかねをこしにさし、宗かん よりたび/\発句などくだし侍り、近くは 宗牧一二座忘れがたく、其らをたよりにて おもひよる事しか也。追加五十いんおほけ れど、祗公三嶋にて千句二おりを、おもひ いづるものならし。  さて、古来まれなるどくぎん千句成就、 松のはの正木のかつら目出や侍らん。